黄山(Huang Shan)、最高峰は蓮花峰 1864m、玉屏楼にて
黄山は安徽省南部に位置し、72の奇峰からなる山岳風景区。奇松、怪石、雲海、温泉と水墨画のような景色で有名。2回行ったがあいにく霧や雲海は出ず、水墨画のような景色は見ることができなかった。ユネスコの世界文化遺産及び自然遺産の一つ。中国でも最も有名な名山である。７〜8年前もすごい人だったが、世界遺産ブームの中国は今、もっと多くの観光客が訪れているだろう。岩山に階段をつけた登山道が張り巡らされ、ロープウェイもついている。なお、中国の名山と呼ばれる山は殆ど立派な道がついており、ロープウェイがついている山も多い。それらの名山は結構登り甲斐はあるが、登山というよりも風景を楽しむ観光の山だ。開発が進み、玉龍雪山の氷河や、松田宏也氏が奇跡的に助かったミニヤコンカの氷河近くにまでロープウェイがかけられている時代となった。
明の地理学者の徐霞客が黄山をいくたびか訪れ、「五岳に登ったら他の山など見る気にならないが、黄山に登ったらその五大山すら見る気にならない」と讃えたとのことである。李白や郭沫若をはじめ多くの文人墨客が黄山を訪れている。また有名な政治家も登っており、��小平の碑もあったような気がする。ちなみに五岳とは、泰山、崋山、恒山、衡山と少林寺のある崇山の五つである。
黄山は切り立った岩山であるため、山屋的にみれば岩登りのメッカになりそうな山である。しかし、世界遺産であり中国有数の名勝でそんなことは許される筈もない。
黄山に飛行機で行くには、書道の墨や硯で有名な黄山市屯渓区に空港がある。屯渓の老街には宋や明代の古い街並みが残されており、一見の価値がある。
朝日新聞の「アジアの街角」に黄山がうまく記述されていたので引用する。
花崗岩が露出した絶壁にしがみつくように生える無数の松。風が林を吹き抜ける時、荒波がゴーという音が響き渡る。観光客は浮世離れした風景にため息をつく。水墨画から抜け出したような黄山は中国人の心の古里だ。
標高1864�辰力＿嵎�を筆頭に約80の峰がある。世界遺産で人気観光地を選ぶ政府アンケートでも1位に輝く。伝説の帝王「黄帝」が仙人になった山があると聞いた唐の玄宗帝が名付けたという。李白も詩を残した。文革後に復帰した��小平も79年に訪れ、絶景を前に改革開放政策の未来に思いをはせた。
黄山にまつわるエッセーを発表したエッセイスト程亜星さん(41)は「絶壁の松は、厳しい環境を生き抜いてきた中国人の象徴です」。
黄山で面白いエピソードを一つ。
2回目の黄山、12月31日の夜、日本からの友人と排雲亭のホテルで泊まった時の話。寝る前にシャワーを浴びてあったまろうと蛇口をひねったが、湯が出てこない。寒いのにしょうがないなぁ、とふてくされてそのままベッドに入ったら、アルコールが効いたのかすぐに寝入ってしまった。夜中に目が覚め、何やらおかしい感じがするなと思いながら、ベッドの下を見ると、中国式にアヤーッ！床が水浸しだ！不思議に頭が早く回転し、もしやと思いながら風呂場を覗くと、濛々たる湯煙と、お湯がジャージャーと流れ出していた。湯が出なかった蛇口をそのまま開けっ放しにしていたのが、いつの間にかお湯が出始めたようだ。フロントに電話をしたか呼びに行ったか忘れたが、早速係員が来てくれた。ところが、長いワイヤーを風呂場の排水管に突っ込んで水を流そうとしたが、排水管が詰まっておりうまく流れない。その夜は他の部屋を安排（中国語で anpai）してくれたのでゆっくりと寝ることはできた。
さて、翌日は元日。チェックアウトをする時、何やらフロントがおかしい。また、もしやと思っていると奥から別の人が出てきた。不安的中！カーペットが濡れ、暫く部屋が使えないから弁償しろと言う。排水口が詰まっていたからお湯が溢れたのであって、悪いのはそちらだ、と言ったがつたない中国語では勝負にならない。そこで中国人の朋友に困ったら電話をしてくれと言われたのを思い出し、携帯で上海に電話をかけた。状況をざっと説明し、弁償をしなくても良いようにして欲しいと頼むと、さすが黄山のある安徽省出身の朋友はホテルを旨く丸め込んでくれ、無事弁償せずにすんだのである。
教訓；ホテルでは湯が出なくても蛇口を開けっ放しにして寝ないようにしよう！
