ジョムソン方面の花

 Flowers in Jomsom and its surroundings

 

Nilgiri North and Apricot from Kagbeni
カグベニからのニルギリ北峰とアンズの花。咲きかけのため、花は少なかったが、下のエクレバッティでは満開だった。

   ジョムソンはアンナプルナ内院の北西に位置し、カリガンダキ河沿いの大きな集落である。ジョムソンはポカラと飛行機で結ばれており、便も多く、アンナプルナ・サーキットの主要拠点となっている。ジョムソンからムクチナート往復やティリチョ・レイク、ローマンタンへの起点ともなっている。また、ドルポや、マルファからダウラギリ方面へのルートがある。カリガンダキの一帯はタコーラとも呼ばれ、タカリ族のふるさとである。
 カリガンダキを南から北にさかのぼると雨量の変化による植相の違いがよくわかる。インド洋からの湿気を含んだ空気はヒマラヤにぶつかるまでは大量の雨(高い所は勿論雪)を降らすが、ヒマラヤを越えると乾燥した空気となる。トゥクチェの辺りから樹木は段々少なくなり、ジョムソン辺りからは樹木はまばらで、水がある所しかなくなる。カグベニ辺りからの山は潅木と草がわずかにあるだけの、チベット風の乾燥気候である。
   トゥクチェやコバン、カグベニはソバ畑が多い。秋になるとトゥクチェの南のコバンのあたりはピンクのソバの花のじゅうたんとなる。カグベニのソバは白とピンクの混ざった花である。なお、ネパールではソバは元々日本のように麺として食べることはなく、のして焼いてチャパティとしたり、蕎麦掻や小さくまるめて油で揚げて食べる。日本人が麺として製造できるようにしたため、ネパールの日本レストランでもざるソバや暖かいソバが味わえる。
   また、この辺りはアンズが栽培されており、4月頃は花がきれいだ。軒先や庭でアンズを乾燥している風景を見ることができ、乾燥したアンズが店でも売られている。アンズのブランデーも作られており、ちょっとしたこの地方の名産品だ。特筆すべきは、日本人の協力により、日本並みのおいしいリンゴの栽培に成功し、ジョムソンリンゴといえばネパールでも有名である。但し、交通が発達していないため物流に問題があり、ポカラくらいとカトマンズの一部しか流通していない。これはネパール共通の問題であり、山間地の農産物の輸送は人間が担ぐか、良くて馬かロバまたはラバしかない。
   ムクチナートから上のトロンパス方面には高山植物も多い。

 

Buckwheat field at Khobang
 コバンのソバ畑、2600m、9月中旬   

Buckwheat field at Kagbeni
 カグベニのソバ畑、2800m、9月下旬    

 Buckwheat, Fagopyrum esculentum
ソバ、タデ科、カグベニ、2800m、9月中旬   

Apple
リンゴ、マルファ、2700m、9月中旬    

Arenaria sp?.
紅葉、ノミノツヅリ属、トロンパスへの途中(ムクチナート側) 4,700m、9月中旬。植物の名称は不詳。ネパールでは紅葉は一般に余りきれいではないが、これは形のよい球形で色もきれいだった。

Arenaria sp. and Sxifraga sp.
紅葉、ノミノツヅリ属、トロンパスへの途中(ムクチナート側) 4,700m、9月中旬。緑と茶色の部分はユキノシタ属と思われる。

 Aster sp.
シオン属の仲間、キク科、ムクチナートの上部、4000m、9月中旬

 Cichrorium sp.
 キクニガナの仲間、キク科、ムクチナートの上部、4000m、9月中旬

 Taraxacum sp.
 タンポポ属の一種、キク科、ムクチナートの上部、4000m、9月中旬

 Cyananthus sp.
 キアナントゥス属の一種、キキョウ科、ムクチナートの上、4000m、9月中旬

 Campanulaceae sp.
 ホタルブクロ属?、キキョウ科、ムクチナートの上、4000m、9月中旬

 Oxytropis williamsii
 オキシトロピス・ウィリアムシー、カグベニの上、3000m、4月中旬

 Rosa sericea
ロサ・セリケア、バラ科、エクレバッティ、2750m、4月中旬

Astragalus candolleanus
 アストラガルス・カンドレアヌス、ゲンゲ属、マメ科、カグベニの上、3200m、4月中旬

  

 home

 menu