ランタン、ツェルゴリ
 Langtang and Tsergo Ri

 

 ツェエルゴリ4984mからのガンチェンポ6387m(左)とテンバルタン5702m
Ganchenpo 6387m in leftside and Tembalthang 5702m in rightside from Tsergo Ri 4984m

 

    ランタン谷は英国の登山家・探検家のティルマンが、「世界で最も美しい谷のひとつ」と紹介したそうである。日本人にはすっかりこの言葉が有名になっている。期待をして行ったが、これくらいの谷ならネパールの他の地域を含め、世界にいくつかありそうな気もする。私が訪れたのは、11月から12月にかけての雪を迎える前の冬枯れの時期で、緑や高山植物の花が見られなかったせいかもしれない。しかし、住んでいる人々、主としてタマンやチベット人であるが、は親しみやすく居心地がよかった。
   ティルマンの本を読んでいないので詳しいことは分からないが、世界中の山に登ったティルマンは、ランタン谷に何か感じるものがあったのだろう。ティルマンは「最も美しい谷のひとつ」と、恐らく、"one of the"といったと思うが、ガイドブックや人によって、「ひとつ」が抜けおちてしまい、「最も美しい谷」となっている。ティルマンはあの世で苦笑しているかもしれない。
   ランタン谷の下部は樹林帯が多く、日本の谷やアンナプルナBCへの道にもよく似ている。森林限界を抜け、ランタン部落に近づくと景色は開け、特にキャンジンゴンパから上流の景色は一変する。今回は行かなかったがランシサカルカ周辺の景色も良さそうだ。ティルマンはランタン谷の上流のU字型の開放的な景色をほめたたえたのだろうか。ツェルゴリやその中腹から見下ろすランタン谷と周囲のヒマラヤの山々は素晴らしい。国立公園で動物が保護されているため、鳥や獣もよく見かけた。
    ランタン谷に行くトレッカーはキャンジン・ゴンパまで行くわけであるが、その周辺のコースとしては、日本の一般のガイドブックには氷河めぐりやキャンジン・リ4550mくらいしか紹介されていない。しかし、このエリアで外国人に最もポピュラーなコースのひとつはツェルゴリ 4984mである。彼等はキャンジンリよりも、ツェルゴリを目指す。ゴーキョピークやカラパタールより標高は低いがキャンジン・ゴンパから高度差で1200m近くあるため、往復で7〜8時間かかり、登るのははるかにきつい。しかし、それだけ登り甲斐があり、頂上からはヒマラヤの白い峰々の素晴らしい展望である。ランタンの盟主はランタン・リルン7234mで圧倒的な存在感があるが、ガンチェンポ6387mもよく目立つ。頂上は地元のチベット人が取り付けた、チベット仏教のタルチョーや幟が多数はためいている。
   ツェルゴリはランタン谷を訪れる人には是非登ってほしい山である。
   ツェルゴリへの道は踏み跡もしっかりついている。ロッジの人に道を尋ねる場合は自分の納得がいくまで聞いた方が良い。地元の人は多くが登っているが、地図を読める人は殆どおらず、東西南北はかなりいい加減になることがある。他の国でもそうだが地図を読めない人は、二次元でなく、感覚で一次元的(直線的)に情報処理するから、、図を描くと方向はあいまいで、目的地からは離れた方向になることがある。
  頂上からの帰り道は、時間があれば南東方向から下り、南の山腹廻りガよい。ランタン谷を見下ろす雄大な景色が楽しめる。ヤクの踏みあとが沢山あるが、視界がよければ適当に下っても迷うことはないだろう。
  NMAピークのひとつのMt.Yala 5732m (殆どの人はMt. Yala ではなくて、南側の簡単なYala Peak 5550mに登っているが) のBCはキャンジン・ゴンパからはツェルゴリをはさんで東北東の反対側にある。ツェルゴリはこの付近のピークに登るための高所順応としても使われているようだ。 

ティルマン:Halold William "Bill" Tilman (1898-1977) 英国人。登山家にして探検家、セーリングもする。世界中の山を登り、1935年のエベレスト遠征にも参加した。ランタンに関しては、1949年に4ヶ月にわたりガネッシュ、ジュガール・ヒマールの調査を率いた。このときにパルドールの初登頂もしている。 1977年、南太平洋の島の山を登るため、リオデジャネイロからフォークランド諸島に向う途中の航海で行方不明となった。          

 

ランタン谷への基地、シャブルベシ。カトマンズからジープで7〜8時間、バスで10時間前後。ここから中国国境まで中国により道路建設中である。
Syabru Besi, a base to Langtnag valley

ランタン部落と中央の山がツェルゴリ
Langtang Village and Tsergo Ri 4984m in center

 ツェルゴリ 4984m
Tsergo Ri 4984m

 キャンジン・ゴンパとランタンリルン(左)、キムシュン(右)
Kyanjin Gompmpa, Langtang Lirun7234m(leftside peak) and Kimshung 6745m

 ガンチェンポ6387m、キャンジン・ゴンパより
Ganchenpo 6387m, taken from Kyanjin Gompa

 ナヤ・カン 5844m、NMAピークのひとつ。ツェルゴリへの途中より
Naya Kang 5844m, one of the NMA Peaks, on the way to Tsergo Ri

 ツェルゴリよりポンゲンドクプ 5930m
 Ponggen Dokpu 5930m from Tsergo Ri

 ツェルゴリの頂上
 The peak of Tsergo Ri

               Goldum 6480m(?)          Langshisa Ri 6427m     Urkingmang 6151m           Ganchenpo 6387m   

Goldum 6480m (と思うが違うかもしれない)

Langshisa Ri 6427m, one of the NMA Peaks

Urkinmang 6151m

Ganchenpo 6387m

    Langtang Lirung 7234m and Kimshung 6745m

 Langtang Lirung 7234m

 Kimshung 6745m

 Yansa Tsenji 6745m in leftside and Mt. Yala 5732m

 Mt.Yala 5732m and Peak Yala 5550m. Mt. Yala is one of the NMA Peaks

A house at the Langtang Village

Syabru Besiの街並み。カトマンズからは距離で143km程度だが悪路のため、バスで10時間前後、ジープで7〜8時間。バスの旅はユーモア好きの外人曰く、 "Good adeventure!"。ジープより桁違いに安く、ネパールを堪能できる。金持ちの日本人にはキャンジン・ゴンパとカトマンズをヘリで往復(または帰りのみヘリ)するツアーもある。

チベットとネパールを結ぶ道路計画がいくつかあり、シャブルベシからチベット間もそのひとつ。中国の援助により自動車道路建設中。中国から建設機械を持ち込み、建設作業も中国人が行っている。近いうちに、カトマンズからチベットに車でいける新しいルートができる。タマンの郷、ラスワも開発が進む。

 

<2008年の記録:前半、アイランド・ピーク、後半、ランタン、ゴサインクンド>
1.全体期間:11月5日〜12月9日

2.前半:アイランドピーク 6183m、チュクンリ5550m登山
     11月8日〜11月19日 12日間  
※中間でポカラ訪問


3.後半:ランタン、ゴサインクンド

(1)期間:11月25日〜12月5日 11日間 (カトマンズ起点)
(2)ガイド:ポカラの旧知の個人ガイド (ポカラのガイドのためランタンは初めて)
(3)概要
   11月25日 カトマンズ- シャブルベシ(ジープ 7.5Hr、12,000ルピー)
   11月26日 シャブルベシ - ラマホテル
   11月27日 ラマホテル−ランタン
   11月28日 ランタン - キャンジン・ゴンパ
   11月29日 キャンジン・ゴンパ - ツェルゴリ登山4984m - キャンジン・ゴンパ
   11月30日 キャンジン・ゴンパ - バンブー
   12月1日  バンブー−トゥロシャブル−シン・ゴンパ
   
12月2日  シンゴンパ - ゴサインクンド
   12月3日  ビューポイント、ゴサインクンド周辺散策
   12月4日  ゴサインクンド - ドゥンチェ

   12月5日  ドゥンチェ - カトマンズ(バス 8.5Hr,240ルピー)   

 

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